八木邸と並ぶ新選組最初の屯所、前川荘司邸。
八木邸の向かい側にあり、ファンの間では説明不要の聖地。
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| 旧前川邸 |
新撰組草創期を支えた前川邸
新選組は八木邸と前川邸を約２年間屯所とした。
前川邸を舞台にした事件は数多い。
文久三年、京都に到着した浪士組は、八木邸、前川邸、了徳寺、南部邸に分宿した。
のちに新選組となる試衛館組と芹沢一派は八木邸に宿泊していたという。
清河八郎に率いられてほとんどの浪士組隊士が江戸へ帰ったのち、壬生浪士組が会津藩お預かりになったころから壬生浪士組は八木邸、前川邸を活動の拠点とした。
そのため前川荘司とその家族は、油小路六角にあった前川本家の両替店へ避難することとなった。
主のいなくなった邸宅では隊士がやりたい放題。
討幕派からの守りを固めるという理由で、屋敷を勝手に改造。
本格的に屯所としていく。
屋敷を囲む塀は板塀から土塀に改築。
長屋門には監視のため、元は西側にしかなかった出格子を東側にも取り付けた。
そして、母屋の納戸からは、坊城通りへ脱出するための抜け道も作られた。
前川邸で起こった事件
長州の間者を処分
長州の間者・御倉伊勢武と荒木田左馬之介が、前川邸の縁側で月代を剃っていたところを斎藤一と林信太郎に斬殺され、楠小十郎は門前で原田左之助に殺害された。
野口健司切腹
文久三年十二月二十八日(1863年2月５日)
野口健司切腹
前川邸の綾小路通に面した一室で切腹した。
「野口健司さんが切腹したんですか? 何処でで す?」
「屯所ですよ、安藤が介錯でした。さすが野口さん だ、御立派な最後でしたが、こんな顔をしているが、 この安藤の腕も大したものですよ」
「野口さんは何んで切腹したんですこれだけいっても黙って終いました。
後で、父のいうには、 芹沢派没落の関係で、水戸 系統の野口健司も、何にか詰まらぬ事から詰腹を切 らされるような事になったのだろうとの事でしたが､ 林も安藤も、本当に、その切腹の理由は、はっきり 知らないようでした。 (「新選組遣聞｣)
野口健司は壬生寺に眠っている。
土方歳三、古高俊太郎を拷問する
池田屋事件へとつながる、土方歳三が古高俊太郎を拷問した部屋がある。
山南敬助の切腹
慶応元年二月二十二日 (1865年3月19日)、山南敬助が脱走をする。
近藤は沖田総司を追手に指名する。
沖田は江洲の大津で山南に追いつく。
慶応元年二月二十三日 (1865年3月20日)、新選組総長・山南敬助切腹。
脱走の理由については、書物やドラマ、映画で様々な描かれ方をしているが真相は定かではない。
永倉新八によれば山南が脱走したと聞いた近藤勇は密かに喜んだ、とあるが「ひそかに」なので永倉の推測の域を出ない。
また大河ドラマ「新選組！」でも描かれた、遊女、明里と前川邸の格子を介しての別れはフィクションである。
山南敬助の切腹が前川邸での最後の事件となった。
山南切腹のすぐ後、おそらくは二十日ごろに新選組は新しい屯所・西本願寺へ引っ越したからだ。
まるで山南と山南切腹事件に別れを告げるように。
まもなく隊長近藤は副長土方や沖田、斎藤などの幹部連 をともなって現われ、列座の面前へ山南敬助を呼びだし、 「新撰組法令に脱走を禁じ犯すものは切腹を命ずるよう規定してある｡山南氏のこのたびの脱走についても法文のとおり切腹をもうしつける」
おごそかにもうしわたした。 山南は自若として、
「切腹を命ぜられてありがたきしあわせにぞんずる」と
色を変えず、 そくぎに黒羽二重の紋付に衣服をあらた 蒲団をしいて中央に正座しいならぶ一同にながながの交際を謝し水杯をかわしてねんごろに別辞をのべた。 介錯は沖田総司にたのみ言葉をかけるまで刀をおろすなという。
そして静かに小刀をとりあげて下腹へズプリと 刺し 真一文字にひきまわし前方へ突っぷした。 そのみごときには近藤も、
「浅野内匠頭でもこうみごとにはあいはてまい」と賞讃し、遺骸は神葬で壬生寺にあつく葬った。
「新撰組末記」
山南の切腹を受けて伊東甲子太郎は書を残している
〇山南氏の割腹を弔いて
春風に吹さそわれて山桜ちりてそ人におしまる々かな
吹風にしほまんよりも山桜ちりてあとなき花そいきまし
皇乃まもりともなれ黒髪のみたれたる世二死ぬる身なれハ
阿免風によしさらすともいとふべき常に涙の袖をしほれハ
「残しおく言の薬草」
山南敬助は光縁寺に眠っている
現在の旧前川邸
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| 旧前川邸 |
田野製袋所になっている。
曜日によっては玄関までは入ることが可能で、新選組グッズ屋が設置されておりオリジナルグッズが販売されている。
毎年３月に山南敬助忌が行われ、その際に切腹の部屋や拷問部屋などが公開される。
所在地：〒604-8811 京都府京都市中京区壬生賀陽御所町４９
新撰組ショップ営業日：土日・祝日 10:00～17:00
※ショップ営業時間外に訪問しても中に入ることはできない。
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