宇都宮城跡~土方歳三、城攻めす~|栃木県宇都宮市

土方歳三が攻めた宇都宮城
土方歳三が攻めた宇都宮城

慶応四年閏四月十九日(1868年6月9日)、会津藩士秋月登之助を司令官、土方歳三を参謀に据えた旧幕府前軍は宇都宮城を攻める。

宇都宮城とは

始まり

宇都宮城の始まりは平安時代に藤原宗円が二荒山の南に住居を構えたのが初まりである。
その後、近世・江戸時代に改修され、輪郭と梯郭形式を合わせた土塁作りの平城となった。
本多正純の頃には天守があったといわれているが、清明台櫓を事実上の天守としていたと思われている。
徳川将軍が日光東照宮を参拝する際に、将軍の宿泊施設として利用されている由緒ある城である。
藩は宇都宮藩。

幕末の頃の宇都宮藩

戦国時代から江戸時代初期の城主、本多正純以降はたびたび城主となる一族が変わっている。
奥平氏、奥平松平氏、本多氏、奥平氏、阿部氏、戸田氏、深溝松平氏と譜代大名が城主としてこまめに入れ替わった。
江戸時代後期には宇都宮藩・戸田氏が6-7万石で治め、幕末を迎える。
最期の藩主となった忠友は、慶応三年(1867年)七月に寺社奉行と奏者番を兼任する
しかしこの2か月後に大政奉還が行われ、戊辰戦争が勃発する。
戊辰戦争では忠友は、徳川慶喜の助命のため上洛を目指すも入京できず、朝廷(新政府)から大津で謹慎を命じられる。
藩主が大津で謹慎している間、宇都宮では農民や町民による打ちこわしが起こった。
この混乱により、また藩主不在のために家老だった県勇記が国許で主導権を握り、藩内の意見を統一して新政府に味方することを表明した。
旧幕府軍と二度の衝突を経て宇都宮城は新政府軍の物になる。
以降、会津攻めの際の重要拠点となる。

現在の宇都宮城跡

土方歳三が攻めた宇都宮城
宇都宮城跡公園

現在の宇都宮城の櫓や土塁などは資料を基に復元されたものである。
エレベーターで櫓まで上がることができ、櫓の入り口も階段の隣にスロープが設置されているので車いすでも問題なく訪問できる。
周辺は公園のようになっており広い芝生エリアと駐車場、トイレが完備されていて宇都宮市民の憩いの場となっている。
土方歳三が攻めた宇都宮城の櫓
復元された櫓

土方歳三、城を攻める

下総で集結した旧幕府軍は日光を目指す。
その道程の途中にある新政府側の宇都宮城は避けては通れない場所だった。
秋月登之介、土方歳三率いる旧幕府前軍は水戸街道を北上し宇都宮へ、大鳥圭介率いる中軍・後軍は日光を目指した。
二手に分かれた理由はおそらく宇都宮城を落とせれば最高、落とせなくても日光に入れれば問題なしといったところか。
その証拠に土方らが宇都宮城をおとしたと知った大鳥圭介は日光へ行く進路を変更し宇都宮へ入ってきている。



慶応四年四月十九日早朝、土方歳三率いる旧幕府軍は宇都宮に到着する。
午前十時から城攻めを開始し午後四時頃には終結したという。
特に南東側を苛烈に攻めたという。

同十九日宇都宮城下近ク迄押寄セケレバ、敵兵防御シ烈布発砲ス、味方乗機ニ速ニ鯨声ヲ挙ゲ城下二逼ル。放火烈布大小砲打チ立於此城の内外尽ク火ト成リ、敵狼狽シテ城ヲ捨テ逃去ル。(『島田魁日記』)
「土方歳三ハ歩兵ノ退クヲ見テ、進メ進メト令シツツ逃ル者一人ヲ斬倒ス」(『桑名藩
戦記』)。

意味:土方は歩兵が引こうとするのを見て、進め進めと命じつつ、(敵前)逃亡しようとする兵士を切捨てた。

土方に斬られるのを恐れた旧幕府軍の兵士は敵へ突っ込んでいったといわれている。
宇都宮藩兵と新政府軍からの援軍はもはやこれまでと城に火を放って退却する。
落ちた宇都宮城に入場した幕府軍だったが、火災の為食料や武器はおろか建物すら危うかったので、その日は近くの満福寺に宿泊した。

四月二十日、宇都宮城を獲ったという知らせを受けた大鳥圭介は進路を変え宇都宮に入る。
四月二十二日、午前四時ごろ、大鳥隊は壬生城攻略に出陣、土方隊は宇都宮城を守備していたが、大鳥隊は敗戦。午前十時には宇都宮城に戻ってきてしまう。(安塚の戦い)

四月二十三日、勢いづいた新政府軍は宇都宮城に攻撃を仕掛ける。
当時、土方は宇都宮城の北に位置する二荒玉神社に陣を置き戦っていたが宇都宮城危うしとなり城へと入る。


土方歳三、負傷する

宇都宮城に入り松が峯門付近で戦闘していた土方歳三は昼頃、銃弾を足に受け負傷してしまう。
旧幕府軍は敗戦し、土方は今市まで運ばれた。
土方歳三が負傷したと思われる松が峰門
松ヶ峰門の当時と現在
松ヶ峰門は宇都宮城の西の門で、現在の住所で宇都宮市一条三丁目付近にあった。
現在の松ヶ峰門跡地はコインランドリーの駐車場およびマンションになっている。

施設情報

所在地:栃木県宇都宮市本丸町、旭1丁目地内
開館時間:櫓などの歴史建築物と展示施設、午前9時~午後7時
毎週金~日に日没から21時までライトアップを行っている。

アクセス
電車/JR宇都宮駅西口バスターミナル38番のりば
関東バス「市内循環線(きぶな)」で「宇都宮市役所」または「宇都宮城址公園入口」下車
バス/「馬場町」バス停下車、徒歩10分
車/ 東北自動車道 鹿沼インターチェンジから車で約20分

駐車場:市役所東側の城址公園駐車場、市役所の東第2駐車場が使用可(無料)
トイレあり
展示施設あり

参考文献

   

 


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